冬の初めの蜃気楼
かの
月あかりが照らす街を
街灯が占拠してる
肉まんとおでんの湯気に
わたしは蜃気楼をみた
そろそろみんな凍えだす
赤と緑とモミの木に
浮足立つけど凍えだす
恋とか愛とか幸せに
浮足立つけど凍えだす
澄んだ星空の下で
LEDが宝石になって
スーパーにコンビニにファストフード店に
誰より早く幸せを予約する
約束はないのに予定は埋まってる
きっと何も変わらないのに
日付に急かされて
わたしたちは浮足立つ
全部覚えてたくなる
今日の街の色と音
一人で歩く蜃気楼の中
夜長を持て余して
コーヒーをすする
長風呂だってしたくなる
そろそろみんな凍えだすから
半身浴で泣いたりする