別れー姉弟3
……とある蛙

いつも言葉の足りない弟は
最後の別れの時も
死に顔を見ては泣き
姉の最後の痛みを知っては泣き

もう何の組み立てもなく
嗚咽しているだけの
図体ばかりが大きな
巨大な涙袋と
なってしまった弟

思い出すことは迷惑ばかりかけたこと
自分をそれなりに自慢してくれたこと

いつもニコニコしていて

でも兄との関係を
見舞いに行った病室で
まだ心配していたこと

来年の正月は必ず行くから会おうね
などと 約束したこと

木枯らしが初めて吹いた晩
何一つ
約束を果たせず
棺の前でめそめそしている弟

もう初老といってよい年なのに
子供の頃と変わらない
泣虫で弱虫な弟



自由詩 別れー姉弟3 Copyright ……とある蛙 2013-11-13 14:42:56
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