蓮華
和田カマリ

僕の心には池があり
そこには
白い花が咲いている

人を憎しんだり
恨んだりするたびに
濁った水から赤い蕾を出し
パンと空気を震わせて
その花は清らかに咲く

どうしても
どうしても人を
恨む事が辞められない
僕の悲しい心には
白い花が咲き乱れている

良い匂いのそれは
嗅ぐととても安心する
母の腕に抱かれるように

そんな時それは
薄い花弁を揺らしながら
僕にゆっくり語りかける

殺されるわけではない
殺めるわけではない
生きている
お前は生きている
殺してない
おまえは殺してない

まだ

いったいどれだけ
人に傷つけられて
いったいどれだけ
人の不幸を願ったのか

指では全然足りないけど
今日もぼんやり
その白い花達を数えている







自由詩 蓮華 Copyright 和田カマリ 2013-11-12 18:33:46
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