永い糸
月乃助


糸を吐く
吐きつづける


安住する繭を紡ぐためでなく、


時は、裸形の
いつわることのない
思秋期


無月の夜に さまよい
眠りにたゆむ街に
星の つつしみのあかりは、堕ちるように
降るように、、


無人の停車場
【蚕】は、ひとり
終バスの消えいる テール・ライトをみつめ
残された時刻表の 空欄の自由
を、ほくそえむ


歩きだす

踏みしめる


ぽつねんと
狂い咲きの 人が足をとめる
ちりしく秋桜の
あわい花びら


「人生の午后」
無垢の糸は、いつしか色をくわえ
極彩色の虹色へ
夢色へ
変わった


乗りおくれた
ここから
ここならば


冬がやってくるまでに
いまいちど紡ぎ始める
新たな【蚕】の物語り


そぞめく 夜を
あなどることなど
ありもせず











自由詩 永い糸 Copyright 月乃助 2013-11-10 22:57:37
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