白骨の湯
そらの珊瑚
露天風呂に
注がれる湯を見ていた
細い竹筒を通って
それは 私のいる場所へと
落ちてくる
水面に触れるだけで
透明だった湯は
たちどころに白く濁る
真暗闇なのに
ほのかに明るいのは
ただひとつの月のせい
その光とて
光源は別のところにある
からくり
その光が浮かび上がらせた
からくり
――心は変わるものなのです
そのことを責めても
それは
ただのからくりなんだと
思い当たる
そして誰でも
最後は
まごうかたなき
白い骨という真実になるのです
現実を上手に隠す
靄
(
モヤ
)
という幻想の晴れ間
私の手脚は
茹で上がり
奇妙なまでに年老いて
ほぐれていった
自由詩
白骨の湯
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そらの珊瑚
2013-11-09 15:03:45
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