5
きるぷ
幾度も飽きずに眺めたあの絵を
休日の人ごみの中に探していた
さーっとなにかがあたまをよぎって、
その時にはもう
それがどんな絵だったかも忘れていたから、
やっぱりいつもこんな意味のない時間ばかり
繰り返してる気がする
星が周り季節が周り、
風景もぼくも周って、
輪っかのなかにとじこめられて、
この阿片窟のような休日には、
みんながみんな、
粘性の夢のようなものを吸っては吐いているのだろうか
(ぼくはラッパの音を想像している。
存在しないものであるから。
ラッパの音は鋭く大気を裂いて、
おそらくはただそれだけなのだ。)
・
昔よく積み木で遊んだ。ぼくは好んで城を作った。敵に見立てたプラスチック製の小さな人形を、幾つも城の周りに配置する。そしてぼくに見立てられたやはり小さな人形は、城の奥で彼らの襲来を迎撃すべく備えていたのだった。コーヒーカップの表面に照り返る電球が揺れるのを見ていたら、そんなことを思い出した。積み木は星の配置に絵を見出す作業にすこし似ている。そんな連想をしながら、星座を見出したひとたちの想像力のことを思った。