青い月のまるく照らす夜
夜気はしっとりひんやりしている
雨上り晩秋の風にゆれて
月へ黙礼をする芒は
亡きこおろぎの歌のように
　　銀の小鈴色
闇に解けている
　　紫のひっそりとした影の
真珠光沢の息が
　　月光に青白く
宙へうかび上がる
鬼火のようだが
あいさつを忘れてはいけない
ふたたびあえるとは限らぬ故に
青い月はまるく照らす