春の嵐
渡邉建志
(がたーん)汽車は
(がたーん)傾き
(がたーん)桜の
(がたーん)花々弁は
(がたーん)はらはら
(がたーん)はらはらと
(がたーん)CHILLed
(がたーん)CHILLen
時代は なべて あさき 眠り のなか
光り
光り あたたかな光りそよかぜ
南向きの部屋、あたたかい
あたたかい、あたたかい
あたたかい部屋で
私は目覚め
生活の音が聞こえ
あたたかな、光り
幸せな沈黙のなかで
私展開 はらはらと 俯き
私転回 さらさらと 散るいのち
(がたたん、がたたん)汽車前のめり
情熱/あてど のない
情熱/あてど のない
は静かに消えて......
見える、 古バード、 はらり
比翼の、 墜落、 終に、
方翼の、 舞踏に、 似て、
(あてど、あてど、あてど)の ない
(あてど、あてど、あてど)の ない
汽車 どこ へ どこ へっ
ときに きらきらと、みえるのは
あれは まぼろしではない
この うつくしい ひかりのなかで
ことばはなにもいらない
かなしいこと
わたしたちはもう
きもちを
あらわすことができないけれど
どうか
あなたはその
きり
のなかにいてください
ことばはなにもいらない
ことばはなにもいらない
ああ
ああ
ああ
ああ
(うつくしくさくらがちってゆきます)
(ことばはなにもいらない)
(わたしたちのすがたはうつくしいです)
(いきを のむほどに)
懐かしい歌を聴け
懐かしい歌を創れ
霧・錐・Killy
情熱は激しく旋回
ああああ私 花の中に生き/生め
ああああ私のアミノ酸たちは木に実をならせ
あなたがそれをもぐだろう!
遺されるは
荒れ狂う
春の嵐