み どり
砂木
木の天辺に腰かけて 青空と雲ばかり見る
木の葉を見下ろして 草が波のよう
風から生まれる 花の歌
花しか知らない 風の夢
靴が かかとから外れて
靴が 足から うっとりと飛ぶ
羽など あったのかしら
指きりもしていないのに
転がって 泥と虫の家になるのなら
迎えにもこれないでしょう
木の天辺で腰かけて 星と月ばかり見ている
闇の葉が体中から生えて 人が物語りのよう
思い出しかない 道の石
石しか残せぬ 時の痕
葉脈から水の音がする
木脈から 人の声がする 誰だろう
姿を欲しがるからわからない
ひとつになったんだね 声になるため
命までたどり着けない 幻の抱擁
脱皮でも羽化でもない 雲の衣を重ね着し続け
ペンペン草に寝転がって 天ばかりみている
むしった葉をなげて 青空を消して
目を瞑って