スコップで人類を掘り起こし
人類から歌をこそげ落とし
人類をそのまま畑に数日干しておいた
その間に人類は人々に分解し
人々は畑に基づいた原始的な共同体を作った
もちろんその共同体にはリズムも旋律もない
歌は僕だけのもの
どんな醜いものでも快楽に変えるのは僕だけの特権

出来うる限りの過去に電気ショックを与え
蘇生した過去に酸素をたくさん送り
盛んに踊り始める過去を尻目に
僕は過去が隠し持っていた財布を盗み取った
過去は近いもの同士打ち解け合い
意思疎通を図ろうとしたが
肝心の貨幣がない普遍性がない
異質な過去同士が分かり合えると思うな
普遍性の糸が通せるのは死んだ過去の間柄だけだ

部屋の中に忍び込んできた世界を捕獲し
籠の中に閉じ込めて飼い始めた
世界に言葉を教えたが
自分が世界であることには気づかせなかった
世界はどんどん賢くなったが
自分の籠が狭すぎることを嘆いてやまなかった
僕は世界の語る物語を聞いて世界のすべてを理解した
世界よ、お前はあまりにも大きすぎるからこそ
こんな籠がお似合いなのだ