秋の風にさらわれて
葉月桜子


ふわっと秋のにおいが わたしの頬を通り過ぎ
あの日を思い出す 

だいだいいろの あの花は 
今日も誰かを傷つける

少し寒い秋の風が わたしを通り過ぎ 
あの場所へとさらってゆく

赤く染まった木の葉は 本当は泣いていたんだ


どうしていいかも分からず
何が一番正しいのかも分からず
誰にも言えなくて


ただ赤くして
本当の気持ちそっとしまって
微笑んでた


本当は泣いていたんだ

空は 青くて 雲ひとつなくて
太陽は 眩しくて キラリと窓を照らすのに


わたしは ただ悲しくて
音がゆがんで聴こえてた


自由詩 秋の風にさらわれて Copyright 葉月桜子 2013-11-01 06:44:22
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