灰色少女
西園 虚汰

ニュータウンのそばの団地
わたしはその屋上から身を乗り出す
鉄のにおいがする

眼下に見える景色は灰色だった
冷たい人間たちが巣くう
わたしは蟻の巣の断面図を思い浮かべる

人間とは……冬の吐いた吐瀉物
「どうりでくっさいわけだ」
わたしはひとりごちる

そう思うと吐瀉物がにおってくるようで
ちょっと気持ち悪くなってきた
視界が灰色に染まっていく……

灰色って幸せな色じゃない
鼠とか水分を多分に含んだ雲とか
不穏なにおいのする色だ

不幸だ、呪いだ、災いだ
だからわたしは透明になりたい
でも知っている

世界は灰色で満ちていることを
団地は灰色で塗られていることを
わたしは灰色少女ということを


自由詩 灰色少女 Copyright 西園 虚汰 2013-11-01 01:47:10
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