セーター
龍九音
ひとはり、ひとはり想いを込めて
大好きなあの人へ贈りましょう
私の拙い手編みのセーター
あの人は受け取ってくれるでしょうか
いつもの街角、いつもの時間
大好きなあの人を待ちましょう
初めての恋を伝えるために
心を込めたセ−ターに全てを託して
突然起こった冬の嵐に
私は立ちすくみ震えています
あの人の隣に知らない女が
楽し気に腕を絡めて歩いています
それでも渡そう 渡せない
私の心は決まりません
あの人の後ろ姿が霞みます
初めての恋は消えぬまま
そっとしまっておきましょう
セーターは今も私の手の中に・・・