マリーアントワネット
月形半分子


チェス盤の上に立っている僕は

ポーン、哀れな駒。

号令が響くたび一歩前へ出る。

白を踏むたび孤独が深まり

黒を踏むたび恐怖が増す

可哀相なポーン、それが僕ら。


革命の冬、串刺しで盤上が沸き上がると

僕らの闘いが加速した!!

すべての駒がナイトに変わり

革命の詩が流行歌になった

クイーンとキングは盤の奥でダイヤのように青ざめていた

彼らのナイトもビショップ も、もういない


大蔵大臣は言った

「残念ながらクイーン、パスは出来ぬのです」

立ち並ぶ僕らの前で

彼女は静かにドレスの裾をもつと

美しくも、革命家の前に進みでた


運命のチェックメイト。




自由詩 マリーアントワネット Copyright 月形半分子 2013-10-30 04:10:04
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