パンドラの箱
龍九音


月夜の陰に隠れて
語り部が謡う
囁くような言葉が耳に届いてくる

名も知らぬ弦楽器の調べが
低く高く・・・まるで泣いてるようだ

パンドラの箱は開け放たれた
禍が渦となって押し寄せる
逃げ惑う心は
さらなる悲劇を生み
立ち上がる勇気さえ
闇の中に消えてゆく

まだ叫ぶ心があるなら
気づきなさい
優しい心と愛しい人を

悲しくても
苦しくても
一人じゃないことを気づきなさい

あなたを待つ誰かがそこにいる
あなたが待ってる誰かもそこにいる

飛び交う禍に目を奪われず
開け放たれたパンドラの箱に
目を向けてごらん

あなたが想う
希望が見えてくるはずだ

優しいのは誰ですか?
それはあなたです

愛しいのは誰ですか?
あなたの心の中にいる誰かです

語り部の言霊は
休むことなく語りかける

大切な人に向けて・・・

それぞれの希望を信じて・・・


自由詩 パンドラの箱 Copyright 龍九音 2013-10-28 18:57:17
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