夢の跡
龍九音

煙草の煙を燻らせて
黄昏の公園に佇む一人の老人
先ほどまで遊んでいた子供達は
まるでかき消す様にもういない

眠たげなその瞳で
茜色の空を見上げ
夢の中を漂い流離う老人
想いに耽るのは何時もの事だと
自分に言い聞かせているように

春には緑の馨りを
夏には青い輝きを
秋には赤い趣きを
冬には白い溜息を

起承転結 夢の跡

また1年振り返るのは
夢を抱えたあの頃のこと

人の夢が儚さなのか・・・
希んでも 望んでも
届かぬ思い・・・

騒ぐ心と諦めの心
ない交ぜになるその想いを包むように
ひっそりと
帳がおりてくる


自由詩 夢の跡 Copyright 龍九音 2013-10-26 21:57:38
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