よう、孤独を口説こうよ
茜井ことは

もやもやしちゃってたまらないの
手持ち無沙汰で心は濁る
身体感覚が鈍っていく中
さっき食したファストフードが
この胃の中で叫んでいるよ

お腹をさすって
手探りでわたしを求めるけれど
いくらこの身をまさぐっても
空っぽの気持ちは慰められず
すーすーいうのは胸の奥

不安しのぎに手帳を開いて
「ひとり」という字を
人離と書いた
そんな余裕はまだあるらしい

孤独を手なずけられたなら
この寄る辺のなさは消えるだろうか
こんにちは、孤独さん
愛想笑いで出迎えたなら
わたしの肺を湿らせないで

ひとりで泣くのはつまらないよ
誰かと泣くのは気まずいよ
涙を忘れてしまうのは
それでもやっぱり難しい

こんにちは、孤独さん
わたしはあなたと仲良くなりたい
せめて眠れぬ夜の色が
深い青にならないように




自由詩 よう、孤独を口説こうよ Copyright 茜井ことは 2013-10-25 21:38:52
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