トップスピン
不老産兄弟

チューインガム七月に
アルデンテがどうだとか
ミディアムレアがどうだとか
そんなもの俺にわかるはずなく
ましてや指で確かめる
てんぷら油とか

タイムズスクエアの根元を支える二万と六百人のうちの一人
屋上から時々ばら撒かれる何枚かの千円札
俺の日銭
夏の日照り

俺たちの生きる意味は十把一絡げにされ
夜な夜な目を輝かせて踊るフクロウの言いなりさ
陳腐なプロ意識を植え付けられては
人々のマスターベーションの手伝いに躍起になって
一長一短の人生論を振り
かざし
隣同士で現場を荒らし

俺たちの生き様がどんなものだろうが
婦人服売り場に届くはずはなく
唯一の理解者に
怒りの矛先は
向けられていて

パチンコ屋なら
目の前にあるから
数万だせば手に入る
缶ジュース
これも計算済みと
悲しい顔して胸張って

ばあちゃん
ごめんな
俺はプロになっちまった
プライドだけが肥大化して
少女趣味に走っちまって

一晩中ロックしながら
アルデンテがどうだとか
油の温度がどうだとか


自由詩 トップスピン Copyright 不老産兄弟 2005-01-09 14:53:24
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