いいともの頃
吉岡ペペロ

夏休みさいごの日

ぼくは飛行機で全寮制の中学校に戻った

いきなり夏休み明けの実力テスト

ぼくは明るい暑さと空虚な開放感をさびしく嗅ぎながら二日間のテストを終えた

それからは普通に授業の日々

そこに運動会の練習が加わった

棒倒しでぼくが標的にされるという噂を聞いた

哀しくて眩暈がした

あの頃ぼくは保健室に逃げ込むことに味を占めていた

だから保健の先生とはだらだらと仲良くなっていた

ぼくはいじめられっ子だったのだ

保健室では当時まだ始まったばかりの笑っていいともを見ることが出来た

番組ではネクラネアカという言葉がやたらと使われていて保健の先生はぼくにネクラになったらだめよとよく声をかけた

思い出したくもない話だがタモリが歌うオープニングをバックに泣いていたこともあった

お昼休みはウキウキウォッチングあっちこちそっちこちいいとも

いまだに耳にするとハッとして哀しくなってしまう

それも来年の春で終わるのだ

あの年の運動会は雨で中止だった

もし雨が降らなかったら

そう考えるとあれからずいぶん遠くまで来たものだと思えてくる

ずいぶん遠くまで生きてきたものだと思えてくる









自由詩 いいともの頃 Copyright 吉岡ペペロ 2013-10-25 11:45:41
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