人のいない写真には
番田 


君の部屋には誰もいない
夢を見たのだ きっと
僕の忘れていた風景の中にあるような
人があふれた 公園は 緑色

僕は何を思いながら空の下 
たどりつくために歩いたのだろう 体は 
忘れさせられたまま 人波の中
憎しみは ただ波の音を聞いていた


家に帰りたい 遠く 人の
いない その 場所へ
憂鬱さは 子供の頃の 夏の日
言葉を忘れた 瞳の夕暮れ 


手はそこで手に入れたいもののために
白の色の 貝殻を 手放していった
拾い上げる 籠を 僕は
残された後に残る 別れの思いで


僕は 帰り道の 捕るはずもない
何も得られない 魚へと 音楽の
寂しさを噛みしめて 家に帰る 音楽家 
死は 噛みしめた時間の 後悔だ


自由詩 人のいない写真には Copyright 番田  2013-10-24 23:58:34
notebook Home 戻る