さよなら、エヴァーグリーン
ブルーベリー
トゥーアーリー、トゥフォガット
(ノートの隅に、死に際のさよならを書いた
意地汚くも弱々しいこの本音は、墓場まで持っていく)
指先の色も
まるい肩も
あの黒い月が噛み砕いて食べてしまった
目の前で笑っているのに
とらえることはできないし
僕にしか見えないのだ
それなのに
僕はもう見えないのだ
君が放る嬉しそうな笑顔も
気難しそうな顔で読む本も
辺りはすっかり暗く沈んで
しょっちゅう現れる、ような
ひどくありふれた例えに
笑いながらも
ほんとは悪い気はしなかったし
ほんとは内緒だったけど
格好いい、なんて
心のうちで思っていたんだ
だけどそれは折れてしまって
歌うように笑ってみたって
君はどうにもならない運命とか、
神様なんてのに怒ってるんだろう
―暗闇が食べちゃったから、
もうわからなくなっちゃったけど、さ。
君は泣く必要なんてない
僕の指先が震えて上手く掬えなかったら
代わりに誰かに食べてもらっておいでよ
だからお願い もう離して、
さよなら、は いつだって口を開けて待ってたんだ、
ほんとは知ってたんだろう
君は賢いから
上手く忘れてくれた頃に
また君の名前を呼びに行く
何度だって忘れてくれよ
また笑顔を渡しに行くから
(だから、それまで待っていて)