Edge
夏美かをる
あなたの言うことは
どんな時でも正論で
つけいる隙なんかありゃしない
あなたのシャツにはいつだって
きっちりアイロンがかけられていて
一筋の小皺でさえ見当たらない
あなたの書く文字は
まるで教科書体そのもの
計算された通り正確に動く
あなたの手はいつも冷たい
きっとあなたが線を引けば
それはどこまでもずっとまっすぐなんだろうね
長い長いものさしを使ったみたいに
だけど、あなたは完璧じゃない
あなたの放った直線が
私の胸を引き裂いて
ぱっくり裂けた乳房から
真っ赤な血が噴き出しているというのに
あなたはその震える輪郭でさえ
きちんとなぞろうとはしないのだから