石筍
吉田友佳
曖昧な外気だ
完満たる清貧と 絶えだえに
光る 水に酔う
九十九に折る地図に匂った暮れ
謝りをただ 撫でる
肥沃の丘にくりのべる あの脚たち
を書きおろし
無欲な気化を巡るまま
このはためきに昂じている
知覚の外で茹であがり
余白にまとわせた意匠
残るはしらけた雲
雷電 長い域
暗惨たる未生はさめざめと 云う
幕間も焼け
潤滑にほころび重くも ない
空目のいろいろに呼吸する胎たちを
横切って住み替える
潜むむこうがわへ
注解は富にまかせ 瀬は泥み
泳ぎだしたひとしさの群れ
長さを持て余し 夢に見られるすえの
発泡 透明な待機で
爛漫たる地平にゆらゆらと 舞う
崖に憩う
不意にそろう値を歩き
青の巻きあがりは
すべてを経たかさなりを賭し
肌理を整えてゆく
たゆたう日付のあとで
時の育つ円錐
ざらつく横顔に繋がれて 麻の布
にいつまでも踊る
曖昧な外気だ
精練した密閉は深々と
或る眼を煮る
雷電 長い息
保有する矩形のほろほろと証す
水に酔う
陥れるなら素早く
糸引く番 に 満ちればいい