机から飛び出して
ゆったいり

高くなってきた空が呼ぶので
机から飛び出して学ぶことにした

何かに追われ、足早に過ぎ去っていた道
今日はゆっくり歩くとしよう

見飽きたはずの街路樹
瑞々しい緑が弾け
時間を宿した幹がそびえる

気だるげに歩く人々
照り返す太陽

石も草もコンクリートも
どこか光を宿して見えた

ああ、視界に入れてはいいきになって
何も見えてはいなかったのだ

住み慣れた街を離れ、どこか旅立つことにした

旅雑誌に載らない出会いに
検索サイトに出てこない風景

咲きほこる花に儚さを知った
のしかかる疲労に達成を知った
だましとられて優しさが理解できた
差しのべられた手に愛を垣間見た

学ぶ姿勢を見せさえいれば
視界の全てが教師となって

どんな絵画も物語も
まされることの無いような

回想の美しさ
経験の感動
これを命の躍動と言わずして何と言うのか!

故郷に帰り、机に向かうことにした

なんということか
無意味に見えた文字たちが踊り出し
背後に鎮座する意味に魅せられ

学ぶ姿勢を見せさえいれば
世界の全てが教師となって

学びの喜びよ
開かれる視界の美しさよ
経験する驚きの瑞々しさよ

ああ、人は学ぶために生まれてきたのだ!


自由詩 机から飛び出して Copyright ゆったいり 2013-10-10 21:35:21
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