Nさん、ありがとう
七尾きよし
詩をかきはじめたぼくが
言葉を失ってしまうようなできごとがあって
その次にはもっと言葉を喪失してしまうようなことが起きてしまって
ポエジーはどこかへ行ってしまったのに
それでもぼくの詩を読み続けてくれる人がいるのです
思うんですよ
ぼくの詩の意味って
ぼくがつくるんじゃないんだってことを
確かに感じた何かがあふれだして
この言葉でなくてはならないって
絶対そうでなくてはならないっていう法則性のもとに
詩はつむがれるんです
そのこと自体には意味がないんでしょう
読み続けてきた彼女の中で意味は生まれてきたのでしょう
力強い白い光が広がっていきます
彼女のこころが輝いているのが見えます
そのまぶしさにふれるとき
それがなんなのかは見えないのだけれども
ぼくは再び詩を書こうとおもったのです
ポエジーは私の中にあるのではなかったのでした
ありがとう
いのち終わるその日まで
輝け