みなもの月
月乃助

 季節の ものがたり
 訪れる ひき潮の音のすでに秋



「「 髪をきるように
   ばっさりと 一つの季節は終わり
   ここに、誰もいなくなって
   それでも 次の遊子たちは、もう
   ちいさな わらいごえをあげていらっしゃる
                 


 静けし
秋色の言の葉は、どれも
詩の子どもたち、 

ですから


 わたしは、
一つになる
誘惑にまけてしまうのです
 

 秋を身ごもり

 秋をやどす


 自立性をたかめた 抑圧された季節の元型らしきものを
わたしの色をそえた赤子 として
生みおとすために、


 あきうらら や
 雁渡し
  つるべ落としの 夕暮れ や
わくらばの 山道 
良夜の月
 

 旬の和の 子どもたち


 しっかりと
母であろうとするのに(するのに)


 見つめれば、おのれも
つくばいに映る 月らしきものに
すぎず、



 わたしという 本質はあの空のはて
天のなか



 きっと それは、
無意識のうちにある
わたしという自我


 











自由詩 みなもの月 Copyright 月乃助 2013-10-08 13:04:55
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