季節の ものがたり
訪れる ひき潮の音のすでに秋
「「 髪をきるように
ばっさりと 一つの季節は終わり
ここに、誰もいなくなって
それでも 次の遊子たちは、もう
ちいさな わらいごえをあげていらっしゃる
静けし
秋色の言の葉は、どれも
詩の子どもたち、
ですから
わたしは、
一つになる
誘惑にまけてしまうのです
秋を身ごもり
秋をやどす
自立性をたかめた 抑圧された季節の元型らしきものを
わたしの色をそえた赤子 として
生みおとすために、
あきうらら や
雁渡し
つるべ落としの 夕暮れ や
わくらばの 山道
良夜の月
旬の和の 子どもたち
しっかりと
母であろうとするのに(するのに)
見つめれば、おのれも
つくばいに映る 月らしきものに
すぎず、
わたしという 本質はあの空のはて
天のなか
きっと それは、
無意識のうちにある
わたしという自我