戦うということ
ヒヤシンス


挫けそうな心に運命が扉を叩く。
足音を忍ばせて私の部屋をうかがっている気配を感じる。
私はしばしものを書く手を休め煙草に火をつける。
天井に立ち昇る煙の中にポーの大鴉が浮かび上がる。

夢を見ていた。
歓喜に沸く民衆が孤独の断頭台に石を投げつけている。
自由の次にやってくる束縛を知りもしないで。
自由を行使する権利は強大な力で我々を地獄の淵まで連れてゆく。

時代が私の目の前で輪廻転生を繰り返す。
寄せては返す波のように私の感情は揺れ動く。
グレーの煙に問うてみるが返事はない。
そろそろ夜が明けても良さそうなものを。

じわじわと歓喜の発作が沸いてくる。
これこそは喜ぶべきもの。これこそは求めていたもの。
私には私の歓声が聞こえないが、それこそが言葉を紡ぐのだ。
私の世界で今また新しい言葉が生まれ出ようと欲している。


自由詩 戦うということ Copyright ヒヤシンス 2013-10-08 03:39:08
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