Neutral

時速60kmで闇の道を切り開いていく
光のはさみ
僕のはスズキだけど もしこれがスバルなら
僕だけの天の川を描くプレアデスになる

毎日同じ動作を繰り返す人工衛星の群れを引き離して
このまま本物の星になりたいって思わない?
スピード違反を取り締まろうなんて考えが生まれなければ
僕たちは今でも ずっとずっと速度を上げられていたはずだよ

車を止めた小道で 人はなぜあんなにも深く
おじぎをするのかを考えていた
実際敬意なんてものはそんなになく
実るほど首を垂れる稲穂でもない
頭を下げている間だけは
人の顔を 見なくて済むから なんだよね
それにいち早く気づく事のできた僕の両目には
瞳いっぱいの星空

僕の手に指は五本しかないけど
プレアデスの鎖を結んでみたい
ハンドルを握りウィンカーを出す事しかできないけど
オリオンの綱を解いてみたい
傲慢だろうか
違う
光だよ

午前零時 鈴虫の歌声に混じって
一匹の 季節外れのホタルが泣いていた
群れからはぐれた光が まるで僕みたいに美しくて
この手の中で いつまでも守っていたかった


自由詩Copyright Neutral 2013-10-07 23:46:33
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