題名が決まらないまま
左屋百色

詩にならない言葉ならべてインクのな
くなったボールペンに私は告白したの
です。今までありがとうずっと好きで
した。ボールペンは息をひきとり今は
コンパスの隣りで眠っています。退屈
していた言葉たちが爆裂し漢字は砕け
一本の線になりました。カタカナはひ
らがなと現代詩戦争。次々と死んでゆ
く言葉たち。気にするな。言葉なんて
半分でも詩はかける。まだまだかける
。今日はコンパスでかく。机よ今日は
直接お前にかく。傷は現代詩と思って
くれ。机よ私はテーブルよりお前が好
きだ。詩にならない言葉は破り捨てた
。いつかこんな日がくるのはわかって
いたんだ。だから気にするな。言葉な
んて半分でも詩はかける。ホチキスに
右手をかまれた。それも気にするな。
左手でも詩はかける。鉛筆と消しゴム
は書いて消してをくり返す。窓の向こ
う側に私が見つけたのは透明な花でし
た。詩にならない言葉ならべてひとり
眺めていました。なぜ君はそんなにも
すぐに表現できるのだろう。花びらの
一枚一枚を言葉で咲かせられるのだろ
う。私が見つけたのは君の空白でした
。ハサミでそれを切り取り花びらをつ
くった時ボールペンが生き返った。私
は机の傷をボールペンでなぞった。


自由詩 題名が決まらないまま Copyright 左屋百色 2013-10-04 20:03:22
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