彫り出しもののこと
八男(はちおとこ)

ある人だったと思う  土を掘っていると  カチン


石が出てきて そこには おはようございます と 彫られていた



大変珍しいものだと 発表された




これを見るために 各地から人が集まり 長蛇の列となった


いつ行っても 二時間待ちだという




ショルダーバックから 手作りのコーヒーを取り出し飲む


ようやく石までたどり着いたとき  少しうれしかった




少しうれしかった それ以上の よろこびは ないと思う





おはようございます と 彫られた字を 目の前にして



ういっす と 何度も言ってみた



できるだけ長く言っていたかったが



係の人が もういいですか と 制止した





いや  もう少し





バックから 花を取り出し 供えた



ここに来た人は おはようございます と


さよなら しなきゃ ならない





その帰り道  地上というものを  考えなおしてみることにした






















自由詩 彫り出しもののこと Copyright 八男(はちおとこ) 2013-10-02 21:38:27
notebook Home 戻る