つめたい てのひら
るるりら



【つめたい てのひら】


どんなに ちいさな赤ん坊であっても
うまれながらに ちいさな爪があるように
花であるなら 必要とする土が要り様でしように
イヌサフランときたら 
土もない お盆の上で葉も出さず ただ花だけ突き上げて咲くことができる

盲の人の話は いつも突然に咲くから
こちらが相槌をしなければ
「あ いないのか」と 納得する
盲の人は耳も聞こえないので わたしは いつだって即席で幽霊になる
生きながら 毎日死んで いる私を、私を、煎じるなら
毒がある 

わたし、
むき出しの毒ある球根だ。


咲いているままの命の重みを 埋めたのは あの年の十月
十は弔いの記号 神無月の最初の日なの
仏壇に
あの日 生き埋めにした球根をマンドラゴラのように引き抜いて
手向けるわ
 

わたし、手を
あわせてみると つめたい てのひら
あわいピンクの わたしの毒花は 温かい
土に還って   さらに咲いたよ


携帯写真+詩 つめたい てのひら Copyright るるりら 2013-10-01 12:14:02
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