Sink into the Sin
神山

夏ゆく渦中の生が他生を殺して
何の声もきこえない台所
コルクを外し
のぞきこんだ硝子壜の帆船
幼い汗を嗅いだ

子供のおこがましさのまま
巨星に打ち捨てられる
過去の魂に対峙して
その忘我が差し伸べる
救いさえ停滞になるならば
命がけが美学だって
睨み合う僕らに
裏切りだけが芸術だ

一千一秒
蛇口につながれない
散水された陽炎のとりどり
とどめ刺し忘れて
老い兆した夏の巻き戻しの水巻きの管

帆船の残骸が浮いている
みぎわの一管の波が
肉と肉の間を流れ
解体された僕の水子
万人のはらわたかき開き
産まれてこられなかったねって
見つけてくれた時から
愛だとかよくわからない
死に物ぐるいの裏切り合いをゆるされたのだ


自由詩 Sink into the Sin Copyright 神山 2013-09-23 17:30:33
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