剥離
祥希いつみ
ため息ひとつ、に
ざわりと肌が蒼くなる
胸のあたり
寄り添っていたものは
事も無げに剥がされて
冬晴れに干された
枯葉みたいに宙を舞う
振り返って見えるもの
そこに答えがあればいいのに
フェルトのように縮絨された現実を
もう解くことなどできないから
季節を変える一陣の風
気付かないふりをして
さよなら、と笑って手を振った
自由詩
剥離
Copyright
祥希いつみ
2013-09-23 02:48:01