抱きしめて眠るものたち
石田とわ


      去年のあなたの誕生日に贈ったのは
      らくだ色の毛布でした
      なににしようかさんざん迷ったすえに
      一日の大半を布団のなかで過ごすあなたに
      わたしが贈ったものを抱いて眠って欲しかった
      毛布といってもピンからキリまでで
      高価なものは買えなくて
      悩んだ末に選んだはずのものは
      思ったよりもうすっぺらで
      少しさびしくなりました
      それでもあなたは喜んでくれて
      なにより無事に渡せたことがうれしくて
      「誕生日おめでとう」と言ったのでした
      今年はなににしようか、
      まだ九月だというのに考えています
      ひとつ、あなたが歳をとる
      その日がくるのが待ち遠しいのです
      どうかわたしに年に一度の言葉を
      これからもずっと言わせてください
      十一月十日、
      その日を指折り数えて待っています
             





 


自由詩 抱きしめて眠るものたち Copyright 石田とわ 2013-09-22 01:49:59
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