抱きしめて眠るものたち
石田とわ
去年のあなたの誕生日に贈ったのは
らくだ色の毛布でした
なににしようかさんざん迷ったすえに
一日の大半を布団のなかで過ごすあなたに
わたしが贈ったものを抱いて眠って欲しかった
毛布といってもピンからキリまでで
高価なものは買えなくて
悩んだ末に選んだはずのものは
思ったよりもうすっぺらで
少しさびしくなりました
それでもあなたは喜んでくれて
なにより無事に渡せたことがうれしくて
「誕生日おめでとう」と言ったのでした
今年はなににしようか、
まだ九月だというのに考えています
ひとつ、あなたが歳をとる
その日がくるのが待ち遠しいのです
どうかわたしに年に一度の言葉を
これからもずっと言わせてください
十一月十日、
その日を指折り数えて待っています