狂騒
ヒヤシンス


肖像画の視線にパリの焦燥と倦怠を感じる。
日々の疲れが重くのしかかるように絵画の中の瞼がその眼光を弱めてゆく。
彼女の視線の先に映っているであろう私の顔はいつしか歪み、
誰に語る訳でもなしに独白を続けるのだろう。

仕事帰りの群集の中を流れのままに歩きたい。
かの詩人はそこに自分の居場所を見つけた。パリの倦怠を背負いながら。
彼はその町であらゆるものを見た。感じた。そして描いた。
私は遠く離れたこの町で同じ匂いを感じている。全てを描く事が出来るか?

新たに何かを始める事がこれほど難しい事だとは。
創造する愉しみが苦しみに変わる時、
焦燥と倦怠とが私の魂を激しくノックする。

肖像画の心の中に真直ぐに伸びる道を見つけた時、
私はほんの少しの心の昂揚と胸の疼きを同時に味わった。
炎が見たい。私は私の全てを燃えさかる炎に投影したいのだ。


自由詩 狂騒 Copyright ヒヤシンス 2013-09-21 22:37:42
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