19歳の季節。恋をしていました
凍湖

花の下肩口に君の声聞く「きみがすきだよ」春の夜です


あなたの名を呼ぶと鈴が鳴るんです胸のはじっこ ちりんちりりと


道ならぬ恋と呼ばせぬわたしらのふわりやさしいあの抱擁を


冷蔵庫見ながら悩む毎日だ、この週末は君が来るので


百円で何が買えるか考えるチロル5つにうまい棒10個


チロルにねわくわく出来る感性を大切にしたい十代最後


葉桜の道歩けばふと気づくツツジのつぼみ、春も過ぎ去る


桜散りても他の花ほころびて、くるくる変わる春の楽しみ


電気消し巻き戻るとき残り香で昨夜ここには君がいました


編み込みに気合い込めるよ一日を切り開くため自分の意思で


雲海にたつが走りてごろろろとやって来るんだ初夏の夕暮れ


しんぞうが勝手にいたがる もういっそむね取り出して洗ってやりたい


石鹸の泡の虹見て永遠に記憶留まる予感に刺され


あぁあなたと抱き締めあう瞬間の昂まりはもうとわに残りて


雷が駆け抜けてゆき磨かれた夕陽が街の隠れ顔映し


祝日の服知らぬ間にシンクロし、繋がっているわたしと君


寂しいと言うまい君を思いつつ片付ける部屋すきが生まれる


あなたから貰いし熊のストラップ手を繋ぐよにそっと握るよ


目の前にすると言葉にならなくて 唐突なキス、しては誤魔化す


「双子」だと言われるよりも「お似合い」と言祝がれたいこの関係を


しあわせにぼく少しでも関われる喜びをもうなんと言おうば


カーテンに朝陽透かして黄金に染まるあなたの愛しき寝顔


君のこえ私の鼓膜溶かします今このとき永遠になる


しんかいで極彩色を放つ目のみえないサカナ。かれらの音楽


よるに書く、下書きの下書きの下書きのお手紙、きりがないです。


ひだり足くすり指爪黒く塗り、ひとりささやく「けっこんはしない 」


ぺたり腰下ろし気付くの這いつくばっている冷気きっとおばけだ


食紅を一滴落とすわくわくとあかい花びらひろがる花瓶


白く息漂う夜にうつむいて髪で隠すなきみのかなしみ


短歌 19歳の季節。恋をしていました Copyright 凍湖 2013-09-21 06:04:55
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