それからはこぐまのサーカスばかり見て暮らした
るるりら

はこぐまに であったのは
白いマストが海岸に現れたときだった
お蝶夫人の待ちわびた人は 波止場には 降りてこなかった
かわりに降りてきたものは
かるい箱のようなものを頭にかぶった熊だった

箱には 黒白の反転したパンダの顔が描かれている
赤いマントに お蝶夫人の本名が縫い付けられているので
どんなに 仮装しても お蝶夫人は 彼を受け入れた


それからというもの 箱熊は お蝶夫人にだけ
サーカスを見せてくれるようになった
箱熊の つぶらな瞳を 信じているから 
綱渡りも辞さないと お蝶夫人は、決めている。





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この作品の初出は「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)に
投稿させていただいたものであり、題名は ナナ・クマスキーさんです。

http://anapai.com/CGI/cbbs/cbbs.cgi?H=T&W=T&no=0




自由詩 それからはこぐまのサーカスばかり見て暮らした Copyright るるりら 2013-09-19 07:36:34
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るるりらの 即興ゴルゴンダ