少女、
月曜日の放課後につくった詩が
火曜日の朝には消えていた
細い指でなぞった物語が
校舎裏で砕けていた中２の夏
西の空がまぶしい
あれは現代詩ですか
いいえ、
夕暮れです
毎日すこし違う夕暮れです
(後でひとつ教えてやる

少年、
教室には誰もいなかった
図書室には大きな空白があった
そこは現代詩地獄
校庭で教科書を破いた時
夕暮れが止まり
すべての言葉が燃えだした中２の夏
駐輪場で少年が少女にわたしたもの
あれは現代詩ですか
いいえ、
青春です
完璧に近い青春です
(後でひとつ教えてやる

少年少女、
詩人になる前に
ひとつだけ教えてやる

ひかりの中に立て
自分の影をつくれ
痛いだろ、それが現代詩だ
わからないだろ、それを書け