手紙
凍湖
手紙を書いた 
何枚も便箋を使って 
何度も鉛筆を削って 
辞書も引いたし 有名な詩集だって見た 
 
伝えたいことはたったひとつなのに 
その一言が見つからなくて 
どの言葉も足りなくて 
書けなくて 
言葉が気持ちを運ぶ舟ならば なんて不完全な舟だろう 
《もし あなたが暗闇でひとり迷子になったら 
私はランプを持って駆け付けよう 
ふたり 手を繋いで 
あなたがひとりで大丈夫な場所まで 連れていこう 
ひとりでも ひとりじゃないから 
私が迷子になった時は あなたが心の中で輝くから 
だから あなたの輝きを あなたの光をなくさないで》 
 
伝えたいことはたったひとつなのに 
その一言が見つからなくて