ノート(50Y.9・10)
木立 悟






誰もいない貧民窟に
火をつけてまわっている
腕に落ちる黒い滴
横顔を映して動かない


棄てられた木製の遊園地で
コースターだけが走りつづけている
午後の灰が
残骸と土を浸してゆく


ここがどこか知っているか
蛇も人も同じだと知っているか
命を終わらせる生業のものが
失くし且つ得るものを知っているか


命うばう命の果て
排除し合う命の果て
にじみこぼれる曇りの朝
光の煙に降りそそぐ





















自由詩 ノート(50Y.9・10) Copyright 木立 悟 2013-09-14 12:34:51
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