時流
ヒヤシンス


雨上がりの木立の緑は歓喜に溢れている。
森の音楽隊が優しい音色を響かせる。
今はオルゴールの狂乱も記憶の彼方に薄れゆき、
深い瞑想の時に親しむ。ある厳かな雰囲気を持って。

等身大の天使の出現に驚きながら、私は森に祈る。
太古の昔から存在するこの森はこの世において一つの生命体を成している。
そこに息づく生命、信仰の対象になっている神々、村に残る伝承の数々を
いったい誰の意思によって破壊し得るというのか。

伐採対象になっているこの森の木々達の嘆きが聴こえないのか。
ある行為は嘆きと希望を生む。受けた恩恵は返すという不確かな密約の中で。
それでも森の天使は微笑んでいる。役目は果たした、と。

永遠の時の中で時代にそぐわないものは去ってゆく。振り返る権利すら与えられずに。
そして生まれる。新しい生命。全てが望まれたものである事を祈る。
深い瞑想から覚めると鮮やかな木々の緑だ。・・・涙が出る。


自由詩 時流 Copyright ヒヤシンス 2013-09-14 11:23:43
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