夕食はサラダスパゲティ
竜野欠伸

仕事が早めに
終わるときには
少しの安堵を抱くように
同棲は始まっていて
郵便局での仕事がおわって
晴れた日の夕暮に
実家から少し離れた
二人の住まいへと
自転車で走る

なぜか携帯電話だけを
実家に忘れていたのも
気づかずに
途中新しくできた道を
選んでは走る
環状八号線を挟んで向こう側の
小さな住まいへと

まなざしには見えない恋は
部屋の鍵を開ける前の
僕のうちにあって
形のある愛は自転車の
二つの車輪のように走る

今夜はパスタにするつもりで
皿洗いが終わり
夕食の食材を
調達するため
スーパーマーケットへと
自転車で走る

ふと気付いて
携帯電話を取りに行く
環状八号線の横断歩道の
青信号が点滅し始めて
ゆっくりと停まり

ようやく実家について
彼女から
着信履歴のある
携帯電話を
ポケットに入れて
ついでに実家にあったツナ缶を
サラダスパゲティにするため
持っていくことにする
自転車は
再び走りだす



自由詩 夕食はサラダスパゲティ Copyright 竜野欠伸 2013-09-14 09:29:40
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彼女に捧げる愛と感謝の詩集