小石も混ぜて海に沈める (十首)
もっぷ
かなしくてなみだをこぼす闇のなか気配はきみのただの面影
アルバムに辿るあの日のよろこびもいまは一人の愚図のため息
二十四わたしの歳はその時に綴じこまれてるスチールのまま
窓際に赤く咲いてるクリスマスポインセチアは夏に黙して
夏が好き赤が好きだと言いながら裏切るように立った冬の日
きまぐれはいつもわたしのほうでした謝るあてが無い夜に泣く
ケータイは無情に時を止めたけどいまはほんとが止まってるんだ
みあげたらもしかしたらと仰ぐけどどこにも何も星の一つも
願いにはかなわぬものとかなうもの二つあるとは思っていない
最後の日言えないことば箱に詰め小石も混ぜて海に沈める