日記「七月」 (十八首)
もっぷ
紫陽花の枯れ果ててあるきょうの昼わたしは外へ帽子忘れて
包んだら届くのかなと丁寧にリボンもかけたひと夏の夢
もう咲かない閉鎖し工事中の場にもう咲くことのない君の名は
まだ若い椛の樹すら隠されて何かやってる工事の現場
立ち入りに身の危険知らせ止めさせる札を折っても会いたい過去よ
花泥棒ゆるせないねと話す道ふと知る靴の踏んでいた花
友達のたずねる先のわたしにはどこにも私視えないはず、が
展墓解き使えないなと置いといて「われ」は二文字、文語がほしい
岩波の古語の辞典を手に入れてしばらくわけを忘れていました
八月の電気代より怖いものいまはほかには無かったりする
近頃は出遅れている猫じゃらしやっとみつけた七月の道
もくもくと白んで曇りではなくてこの日光のそとは七月
あの春に「牛乳お一人様一本」遠くにしてはいけないあの日
野良猫にこれは水だと請け負ったその水をいま躊躇うわたし
コンビニのパスタの五十円引きの仲人さんはATMです
夏散歩夏猫と会い木漏れ陽に寄り添う距離はほどほどの仲
電線の有り過ぎるよとトーキョーの空にみつけたレースの模様
パソコンでみそ一文字に打ち込める今日の日記は七月でした