海に描いた反ジガゾー
ただのみきや
深海魚が太陽を見る日
光のパレットナイフが
海鳴りの弦を切断する
青い狂喜で上塗りされ
それが比喩かも忘れて
人がひとり墜ちて行く
閉ざされた貝のように
白く饒舌な泡に抱かれ
記憶の浅瀬で蓄音機が
壊れたまま愛をなぞる
疼く新月の背中を泳ぐ
魚の群れは暁に爆ぜる
嵐を避けた旅人たちは
空に刺さった白い翼で
昨日の顔を剃り落した
盲目という名の水夫が
風に咲いた女をつかみ
肋骨の間に接ぎ木した
女が蔦のように覆う頃
熟した指で海に書く詩
自由詩
海に描いた反ジガゾー
Copyright
ただのみきや
2013-09-12 23:11:23
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