秋の音
ヒヤシンス


川のせせらぎに今ひとひらの葉が落ちた。
すべての音や空気や木々の彩りが秋に向かっている。
突然の驟雨でさえも、今はもう晩夏の趣は無く、
ただひたすらに秋の匂いがする。

日本の秋が今年もやって来たなぁ。
夏を謳歌した避暑客はめっきり減ったが、
そこかしこに未だ人々のぬくもりが残っている。
そう、子供。家族連れの、特に子供たちの楽しげな笑い声が清涼な空気に薄れてゆく。

子供たちの無邪気な様子ほど私を元気づけるものは無い。
それを見守る親たちの愛情ほど私を優しくさせるものは無い。
それにこの土地の気候。過ぎ行く季節の移り変わりほど私を慰めるものは無い。

少しずつ紅葉してゆく林の中で私は心の平安を見つける。
微かに吹き抜けてゆく秋の風に今また枯葉が落ちる。
冬の訪れまでの短い期間、私はこの季節を味わい尽くすのだ。


自由詩 秋の音 Copyright ヒヤシンス 2013-09-12 20:49:38
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