浪人
葉leaf



本を読むのが日課
活字にはひとつも希望が詰まっていない
友人たちの成功に
心を厳しく墨で塗られては
それでも知識を蓄えねばと
狭い部屋で魂を受験に売り飛ばす

家族は私が楽をしていると思っている
いつまでも夢を追い続けていると
ああ 私の夢は全く違うところにある
全ては生きていくために神経を切り売りしているのに
近所には悪い噂が立つ
いい大学に行っても仕事に就けなければだめだろうと
私は優越感の餌としてとてもおいしいらしい

人と人との間に理解などあり得ないと
人と社会の間に和睦などあり得ないと
不可能性の数を数え始めるときりがなくて
社会的な死を社会的にいかに生きるか
宙返りでもしないと生きていけない
宙返りをするためにこっそり書いている詩や評論の類に
自分だけが認めた唯一の光を託す

心の闇はもはや闇どころではなくて
一つの宇宙、孤立した宇宙として
独自の銀河や恒星で満たされる
そのような宇宙を食らいながら
浪人としての僕はかろうじて
社会や家族からの包囲に対して籠城しているのだ



自由詩 浪人 Copyright 葉leaf 2013-09-09 08:27:40
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