東京ロマンポルノ
花形新次

駅裏の
薄汚れたビルに住んでいる男は
部屋の小さな窓から
ホームの人混みを見下ろし
赤いワンピースを探した
見つけたら旅に出よう

振り返ると
乱れたベッドの上には
見たこともない女が
寝ている

女は朝青龍に似ていた

酔いすぎていたでは
済まされない
神への冒涜

頭を抱え
膝から崩れ落ちたとき

「グヘヘヘヘッ」
女が突然笑った
カツ丼を食っている夢を見ていた

赤いワンピースはどうでもいい
すぐに旅に出よう
そして、しばらくの間
身を隠そう

鼾をかいて眠り続ける
朝青龍を苦々しく思いながら
男は静かに部屋のドアを開けた


自由詩 東京ロマンポルノ Copyright 花形新次 2013-09-07 09:17:46
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