羽矢と霧矢
るるりら


羽矢と霧矢は まゆみの木を みずからの眼力で選び
切り落とし弓と成し、その矢を射る。
深い霧の中に 白百合が群生している
この村には いまは おなごしかおらんけんど さすけね

羽矢と霧矢も おとこみたいな名で 呼び合っているけんじょ 
本当は おなごだ
年端もいかね 百合の花なら まだ開いてねぃ蕾だ
だけんじょ 心の中は 大人みてぃに ひんやりと 鎮まってる

戦の話を聴くと せつねえ
羽矢と霧矢と名乗って いたずらずきの もののけなら容赦しねい
だけんじょ 人と人とが いがみあうのは せつねえ 

ふたりは 弓を背に 村を守る 
霧はたちこめ 霧は森を育て
森の上に虹がでている 虹だけんじょ じぶんたちの心はいつも真っ白だ
なんと みごとな弓の形だ
なんとも ゆるぎのない姿の白虹が 自分たちを結んでいる

空けつになりそうなときは
お互いを思う
すると ありがとない

今日も あの日の 真っ白な虹が 羽矢と霧矢を結び付けてくれるべ
 
 


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まゆみという植物が 校歌に入っている学校があると 教えてくれた福島出身の
友達のしゃべりかたを おもいおこしながら 書いてみました。
わたしは 福島に行ったことすら ないです。わたしは広島の人間です。

ご当地の方々に対して、なにか失礼がありましたら、なんなく
おっしやっていただきたいと 願いつつ投稿させていただきました。

なお、この作品の初出は「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)に
投稿させていただいたものであり、題名は  aoba_3k さんです。

http://anapai.com/CGI/cbbs/cbbs.cgi?H=T&W=T&no=0


自由詩 羽矢と霧矢 Copyright るるりら 2013-09-07 02:52:36
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るるりらの 即興ゴルゴンダ