ささげ米
月乃助


森のほとりに
 もの言わぬ田は、ただひと色
 深みどり


稲穂がふかくこうべを垂れるのは、
 やってくる収穫の 
刈り殺されるものの 祈りでしょうか


すべてを受け容れる
 東アジア的民族の あきらめにも似た
だから、わたしの良心をさかなでする


「「 今なお ことごとに殺戮は 」」
「「 アジアのいずこか     」」
「「 アフリカのいずれかの地で 」」
「「 おこなわれる       」」


死してなお 死してのみ
 人の糧となることを けして、、いえ
喜びとしているのなら 
命をささげるものの 神々しいすがたに、感謝せずにはいられない


それなのに、


生きようと
 風に怒りをふるわせ
涙に 命乞いをするすがたを
わたしは、すこしの期待で待っていたりする


ひと粒の 命のおもさに問われる
 おのれの命の おもさをかさね 天秤はかりにのせる
生きる意味か、その価値か、あるいは 儚い無意味さをしるため


死は、生によってのみ生みおとされるのに

生は、死をけして目的としない


あきらめに 死をうけいれるならば
 謙虚な死の美徳のもとで、
 救いか 奉仕か 死が耽美する誇りを
わたしは、ただ
捨てさるだけ









自由詩 ささげ米 Copyright 月乃助 2013-09-06 14:18:53
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